【静岡県河津町】11/24・12/1開催ツアー体験レポート
河津の谷津漁港で『海の暮らしと新鮮な海産物』の魅力を堪能!
毎年10月から始まる河津の伊勢海老漁、近年は気候変動の影響を大きく受けて漁獲量の減少だけではなく、海の中の生態系にも変化が起きていて、日本の西や南の海で生息する魚が、この河津の海でも姿を現すようです。
長年、谷津地区の漁師は、どのように暮らしていて、どのような仕事をしているのか、「生活価値体験ツアー」に参加して体験してきましたので、レポートしていきたいと思います。
タイムスケジュールはこちら
スケジュール・場所
05:00 | 集合[河津桜観光交流館] |
05:00~05:15 | 移動[谷津港の河津茶屋へ] |
05:15~05:30 | 開会・オリエンテーション[河津茶屋] |
05:30~07:00 | 漁獲物の取り外し体験 |
07:00~07:20 | 伊勢海老の稚魚放流体験 |
07:20~08:00 | 朝ごはん交流会 |
08:00~09:00 | 谷津港の朝市&地元交流 |
09:00~09:15 | 閉会・移動[河津桜観光交流館へ] |
09:15~09:30 | 解散[河津桜観光交流館] |
[集合解散場所:河津桜観光交流館] ※駐車場は無料で利用可能です。
[体験場所:谷津港(漁業経営振興会 谷津部会)]
早朝5時に谷津漁港でオリエンテーション開始
このツアーは、なんと朝5時から始まります。
漁師の皆さんは、さらに早い時間から始動しているので、朝5時が早いかどうか分からなくなりますが、夜明け前の真っ暗な朝からの活動にワクワクします。
今回の体験提供者を代表する渡邊さんは、漁港で河津茶屋という地元食材を活かした飲食店を経営していて、そのお店がオリエンテーションの会場となりました。
河津町役場の古川さんから参加者へツアーのご案内
河津町役場、企画調整課の古川さん、渡邊さんが、当ツアーのアテンドをしてくれました。
夏に開催された「わさび田の環境整備体験」のツアーでも、優しく参加者を迎え入れてくれましたが、今回のツアーでも、お2人の息がぴったりな進行で楽しく過ごすことができました。
オリエンテーションでは、企画の主旨説明やプログラム・スケジュール紹介、参加者同士の自己紹介などが行われます。
ツアー参加者は、東京、神奈川方面から参加した方、静岡県内の他市からご家族やご友人と参加された方もいらっしゃいました。
※2日間合計:6組11名(申込参加)、11組22名(申込参加+地元参加の合計人数)。
体験がこれからスタートするにあたり、期待が高まります。
真っ暗な朝の漁港で過ごす時間は非日常体験!
オリエンテーションが終わると真っ暗な港へ行き、網を引き揚げて帰港した漁船を高台から見ることができました。
(網を入れるのは前日に行われます)
前日は、行楽シーズンに最適な気温で穏やかな日でしたが、海と陸は別のようで、当日の海上は風が強く荒れておりました。
早朝の海で、ドラム缶で焚かれた火の炎を見ながら暖をとるだけでも、既に非日常を実感できます。
作業場に漁網が軽トラで運ばれて作業開始準備
漁師さんとの顔合わせ
作業場まで軽トラで運ばれてきて、始めに漁師さんが伊勢海老を取り分けてから、各持ち場に網を運び、竿に吊るしていきます。
「漁業経営振興会 谷津部会」を代表して渡邊昌宏さんから、漁師の皆さんへ参加者を紹介していただき、初顔合わせとなります。
河津町役場の古川さんが、作業内容や方法、道具の使い方を説明してくれました。
その後、作業に入る班を1グループ毎に案内してくれました。
大量の海藻や魚介がついた漁網!
上の写真は11月24日の網の写真ですが、この日は当たり日??というくらい海藻や魚介が網に引っかかって、網も絡まってしまい、大変な作業となりました。
通常時はこんなにかかることはなく、1シーズンでもあるかないかというくらいの日だと聞きました。
12月1日のツアーの際は然程ついていなく、自然を相手にする仕事は自然のコンディションによってこんなにも作業量に違いがあることがわかりました。
地域の生活価値を体験すると共に、体験を通じて行う作業が「地域のお困り事の解決につながるお助け旅」が生活価値体験ツアーの醍醐味なので、取り組む作業に精が出ます!
海から引き揚げてすぐの網に掛かった伊勢海老やカニ!
取り外し作業に黙々と取り組む参加者
最初は作業の勝手がわからず手こずりましたが、段々とコツを掴むことができました。
力仕事は一切なく、網に絡まった魚や貝を取り外したり、網を紐解いたり、頭と感覚を使う作業です。
足に網が絡まって取れないカニを何とか取り外せた時は、すごく気持ちが良かったです。
夢中でやる作業が好きな方は、かなりハマると思います。
網にかかって獲れた魚介
大きなサザエ!
ヤドカリも登場!
スーパーマーケットの生鮮食品コーナーや生活圏の浜辺で見る魚介と海の中から引き揚げられて間もない魚介は全然違うなーという印象を抱きました。
新鮮とかそうではなく、海で生息している生き物のLIVE感を感じることができました。
なかなか見られる体験ではないのですごく貴重でした。
獲れたての伊勢海老!
獲れたての伊勢海老を見て参加者から自然と驚きと喜びの声が出てきて賑わっていました。
伊勢海老って独特な鳴き声があるのを知っていますか?
初めて見る・聞こえる光景に驚きが隠せません。
取り外し作業を終えた網がキレイに並ぶ作業場
漁師の間では、網についた伊勢海老以外の魚介・海藻をごみと呼ぶらしく、ごみを取り外す作業を終えた網が竿に吊るされてキレイに並べられます。
獲れたて伊勢海老のみそ汁とキメシ(郷土料理)!
いよいよ楽しみにしていた漁港での朝ごはん!
早朝からたっぷり作業したので、お腹がペコペコです。
今朝、海から揚がったばかりの伊勢海老とタコガニの入ったみそ汁に、キメシと白米のおにぎりに、自家製のお漬物、婦人会のお母さんたちによる手作りの朝ごはんです。
東伊豆の郷土料理「キメシ」とたっぷり身の詰まった伊勢海老半身!
大海原「相模湾」の豊かな海の幸がたっぷり入ったこんな贅沢な朝ごはんは、この体験ツアーに参加した人しか食べられないでしょう。
みそ汁を一口飲んだ瞬間に、参加者から声が漏れます。
「美味しー!!」、「すごく濃厚です」、「あったまる~」
東伊豆の郷土料理「キメシ(黄飯御飯)」は、この河津でも、子供の頃は、学校給食でも出ていた地元の人ぞ知る炊き込み御飯です。
クチナシの実で黄色く色付いた御飯が、とても映えます!
河津の人からするとただの黄色の御飯であっても、他の地域から参加した人にとっては、この地域ならではの生活価値を感じる瞬間です。
海の変化や環境問題など地域課題について語る渡邊さん!
海と陸の自然環境の違い、気候変動が招く生態系の変化、漁獲量減少や事業に関わる若者不足による河津の伊勢海老漁師が衰退していく危機問題など、貴重なお話しをしてくれました。
伊勢海老の稚魚放流!
120g未満のかわいい小さな伊勢海老の稚魚を海に返してあげる放流体験をさせていただきました。
伊勢海老は寒さに弱く毛布で包んであげているようです。
海に稚魚放流する参加者の皆さん!
かわいいサイズですが、参加者は恐る恐る伊勢海老を掴み、優しく傷がつかないように海へ放ってました。
獲れたての伊勢海老を購入!
最後は、伊勢海老を漁港で特別に販売していただき、活きのいい伊勢海老を参加者が購入して持ち帰りました。
(遠方やこの後に用事がある方は、有料で郵送手配もできます)
河津オリジナルスタイルの朝市
漁港の朝市と聞くと、威勢のいい声が飛び交い、浜焼きの食べ物などが販売されるテントやのぼりが沢山立ち並ぶイメージを持たれている方も多いのではないでしょうか。
河津の谷津漁港で開かれる朝市は地元で獲れた新鮮な魚が並びます。
昭和の漁港にタイムスリップしたようなレトロ感とローカルの趣のあるかわいいサイズの朝市でした。
12月1日の朝市では、ムツ、水カマス、アジが並びました。
※11月24日は漁の都合で未開催。
とにかく新鮮で安いです。
買う時に漁師さんとの会話も弾んで楽しませていただきました(笑)
■カマスという魚についてご紹介
参考記事:SHUNGATEより引用
目利きが語る:旬の魚「カマス」を楽しむ
仕事仲間と体験ツアーに参加!
自分が食べるまでに、これだけの作業が海で行われていることがわかりました。
とても楽しかったので、子供も体験できるようなツアーになると嬉しいです。
漁師さんとのコミュニケーションが面白かったです。
ものすごく楽しかった!
疑似漁業体験ができました。
漁師さんと作業を一緒に行い体験することで、現地で食べる格別の美味しさがありました!
無心で作業するのが楽しかった!
運よく漁網の修繕作業まで見せていただき、漁師さんに質問しながら網の編む技術を目の当たりにすることができました。
知らない土地で知らない人と会話するのも新鮮で楽しかったです。
他の参加者の感想まとめ
・魚が好きで魚市場に行くこともありましたが、このような漁業体験は貴重な体験になりました。
・現場で漁師さんから生の声を聞けたのが面白かったです。
・網から魚を取り外す作業が良かった!
・もくもくとやるのは好きなので面白かったです。
地元から参加した方の感想まとめ
・この河津で生まれ育って20年以上経つのに、知らないことだらけでした。
・漁の存在は知っていたけど、この職業(仕事)を知らないまま東京に行ってしまった。
もし、子供の頃に漁師の皆さんと作業したり会話したりすることができていたら、何か違った関わり方や選択をする子もいるかもしれないと思った。
・地元の海なのに知らない魚がいっぱいいることがわかりました。
・地元の子供たちも関われるような取組ができるといいなと思いました。
海で暮らす“人”、地域で育った“海産物”、海の“地域課題”
「河津が大好き」という渡邊さんは、河津は本当に魅力ある町だと思うし、とにかく美味しい食材があって、ここで食べるものに自信があるから、河津の食材に「触れて」「見て」「食べて」もらいたいと話されていましたが、それを体感させてもらえるツアーでした。
「楽しい」「美味しい」という体験だけではなく、この河津で起きている海の変化や環境問題などの地域課題を「見て聞いて知る」ことのできるツアーでもありました。
漁師は海に出ると非常に危険な職業ではあるが、農家のように土地を耕し・肥料を巻き・種を植え苗を育て・自然災害から守り・収穫するということはなく、海の中で育まれた海産物を大切に獲らせてもらう仕事なので、海の変化にはいつも敏感だし、今起きている環境問題にも危機感を持って暮らしていると話されていました。
今回の河津町「伊勢海老のエビ網漁業体験」のレポートは、いかがでしたでしょうか。
自然と向き合いながら、地域で育った海の幸を大切にして河津の海で暮らす人たちとの交流を楽しみ、海の幸を美味しくいただき、地域課題にも目を向けることのできる生活価値体験ツアーになりました。